老朽化診断対策専門部会


漁港施設のリニューアル技術の研究・開発

ハイブリッドケーソン、ジャケットなど研究開発への取り組みの中で得られた知見をもとに、以下のような鋼造物の特徴を最大限に活用することを原点と考えています。

鋼材は、強度が高くてしなやかな材料であることから施設の軽量化が可能で、経済的にも優れた構造物の提供が可能です。 また、このしなやかさのために、設計条件を越えた災害に遭遇した場合でも、施設の全体崩壊まで至りにくい特徴があります。
設計の自由度が高く、利用条件や施工条件に応じた断面形状の設計、施設延長の分割計画などが容易です。
優れた加工性を活用したケーソンへの複雑な構造(反射波対策のためのスリット・遊水部、海水導入のための導管)の付加、 ジャケットのような、基礎杭により固定されてる鋼管トラス構造を活用した海水交流など、施設への複合的な機能付加が容易です。
杭基礎構造のジャケットは、地盤改良が不要であるため、経済性が高いばかりか、工事中の海水汚濁の問題が殆どないため、 養殖場に隣接する場所での建設も支障なく行うことができます。
プレハブ化による海上工事期間の短縮・作業内容の単純化により、岸壁などの供用制約期間の短縮に効果があり、 また、危険度の高い海上作業が少ないことから工事の安全性の向上につながります。


さらに、近年では防食工法の開発も日進月歩で進んでいます。重防食塗装、電気防食の信頼性も上がってきており、 加えて新たな金属ライニングによる防食工法の実績も増え、超耐久性を要求される鋼造物の防食対策技術も飛躍的に高まっています。

施設の老朽化、社会情勢の変化、そしてこれらに伴う漁業形態の変化が、かつてない速さで進んでいます。既存施設の実態に応じた、 より効果的な利用を行うための開発方向性を見極めハイブリットケーソン、ジャケットなどの研究開発の知見、技術、ノウハウ、 そして鋼材の利用をフルに活用して漁港施設のリニューアル技術の研究・開発を目指しています。