リニューアル研究部会

1.漁港施設のリニューアル
~既存施設の機能回復、改修・改善、延命、機能向上

全国に散在する約3,000ヶ所の漁港では、今日に至るまで、漁業の効率化、漁船・漁具や漁業施設の保全、就労環境の改善を図り、さまざまな外郭施設や係留施設などが整備されてきました。これらの施設整備により、昭和60年代まで漁獲量は増加し、活気にあふれた漁港漁村の姿がありました。

今日、資源量の減少、漁業就業者の高齢化、ひと不足から、漁業の形態の変化が急激なスピードで起こっており、これに伴う漁港施設の利用法の変化、また、既存施設の老朽化などにより、漁港施設の新たなリフレッシュが必要になってきました。

漁港施設のリニューアルとは、施設規模の拡大という従来の整備の考え方から、適切な補修・回収、(部分的)改造などにより、利用者のニーズや流通システムの変化に対応する既存施設の機能回復・強化を実現するという漁港施設リフレッシュの考え方への移行であると考えています。

本研究部会のキーワードは「漁港施設のリニューアル~既存施設の機能回復、改修・改善、延命、機能向上」です。


2.漁港施設のハード面での課題

施設の老朽化が進み、利用者に不安感が増しているので、仕方なく効率の悪い場所で水揚げ作業をしている
多少の高波でも出漁や係留が容易に行われていたが、漁船の小型化や漁業者の高齢化に伴ってこれが困難になってきた。
設計波高の見直しにより、現在の防波堤の天端高さが不足となり、現実的にも越波などにより漁船や漁具、施設への損傷が発生している。
地域により、災害対策への備えが、これまでになく要求されている

リニューアル研究部会では、主として漁港施設のハード面での課題、例えば上記のような状況に対して、現実の漁業活動に適した施設とはどのようなものなのかを、 実態を踏まえて考え、対応策提案のための技術・研究開発を行っていくことを目的としています。所属する専門部会は「老朽化診断対策専門部会」です。



●漁港施設 機能保全計画の事例紹介と技術サポート
   ~古い施設を大切に 末永く使うための技術~
漁港施設機能保全計画

近年、漁港施設の老朽化とともに、更新を必要とする施設が増加しています。

平成20年度よりスタートした「水産物供給基盤機能保全事業(水産基盤ストックマネジメント事業)」では、効果的かつ効率的な施設の更新を図るため、機能診断の実地及び診断結果に基づく機能保全計画の策定が必要とされています。

今後、漁港管理者(地方公共団体)は、機能保全計画に基づいて日常管理、維持更新を行う必要があり、事業実施に当たっては、事業申請の手続きを行わなければなりません。

事業対象施設は、外郭施設、係留施設、輸送施設(道路・橋梁)等であり、事業採択条件により、漁港種別や施設の種類に応じて事業費の1/2~9/10の範囲で国から補助を受けることができます。

本研究部会は、水産庁関係機関の指導を受け機能保全の実務を研究してきた経験と実績を活かし、機能保全計画策定や保全工事実施の事例を紹介し、診断から保全までの具体的な方法を提案サポートします。

1.漁港施設の事業申請の流れと本研究部会でのサポート内容

機能保全工事を実施するまでに、段階ごとに水産庁への申請が必要です。また、申請には調査結果に基づく機能保全計画書が必要です。

2.計画策定の必要事項

計画策定までに「機能保全の考え方の整理」「簡易調査・詳細調査」「機能保全計画書の作成」について整理・作成が必要です。

3.機能保全計画書の作成例(漁港の例)

当研究部会は、これまでに収集・蓄積した調査から対策工に至るまでの豊富な事例をもとに、機能保全計画書の作成をサポートします。

4.保全工事

当研究部会では、漁港施設の劣化状況などに応じて、補修事例の紹介、補修工法の提案を行っております。