浮体式係船岸専門部会


多機能型浮体式係船岸の開発を目指して

浮体式係船岸専門部会の前身である第三研究部会(浮体式係船部会)は昭和60年8月に漁港新技術開発研究会の誕生と共に発足しました。
この部会では、水産庁、(財)漁港漁村建設技術研究所、水産土木建設技術センターのご指導を受けて、4本の杭で浮体を係留する”動揺制御型浮体式係船岸”を開発しました。浮体式係船岸は、漁船と岸壁の高低差を解消し、積み込み・陸揚げをスムーズに行えるため、全国で実施例は100漁港を超えています。
平成14年7月メンバーも新たに浮体式係船岸専門部会が再スタートしました。漁業者の高齢化やバリアフリー対応など多様化しているニーズを捉え、機能性、安全性を向上させた、多機能型浮体式係船岸の開発を目指しています。
これまでの主な成果としては以下のものがあります。

・浮体式係船岸 設計・施工マニュアル(案)  (平成12年12月)
・浮体式係船岸 積算マニュアル(案)     (平成14年 5月)
・動揺制御型浮体式係船岸 実施例集      (平成14年 3月)
・動揺制御型浮体式係船岸 多機能化事例集   (平成15年 10月)
・浮体式係船岸 積算マニュアル(案)     (平成19年 4月改訂)
浮体式係船岸積算マニュアル(案) Q&A集 (平成21年 12月)
・浮体式係船岸 設計・施工マニュアル(案)  (平成27年3月改訂)
・浮体式係船岸 積算マニュアル(案)     (平成29年12月改訂)※正誤表

動揺制御型浮体式係船岸の概要

浮体式係船岸は潮位変化に追従するため、漁船との段差が荷揚げ作業の負担を低減することができます。しかし、チェーン係留の場合、波や風による揺れや移動量が大きく、荒天時の利用には適さないなどの問題があります。
この問題を解消するために、動揺制御型浮体式係船岸を開発しました。杭によって浮体の水平方向の動きを拘束し、係留装置により動揺制御性を高めることにより安全性を確保します。
浮体の水平方向の移動を拘束する杭は、一般的に鋼管あるいはH型鋼が用いられ、4点係留の場合は、間隔の短い2本の杭頭部を連結し、ラーメン構造として剛性を高めています。係留装置は浮体から係留杭への水平方向の衝撃緩和をするため、弾性を持つように設計されたローラを用いています。

動揺制御型浮体式係船岸の構成(突堤式)


浮体式係船岸の特徴・利点
○漁船と岸壁の段差解消

浮体式なので干満に関係なく水面から岸壁高さが一定で、重労働の荷揚げ作業を改善できます。

浮体式係船岸の干満時の様子
低潮位時
高潮位時
潮位差を吸収

作業の比較
固定式岸壁
浮体式係船岸
漁船との段差を解消

○機械化による荷揚げ作業の効率化

ベルトコンベア等の機械化、トラックの乗り入れ等により荷揚げ作業の効率化ができます。

ベルトコンベアで荷揚げ トラックで乗り入れが可能

○浮体の動揺低減

動揺低減装置(杭係留とクッションローラー)により浮体の揺れや移動量を小さくできます。

係留杭 クッションローラー